不動産投資のなかでも初期費用が比較的安く、管理の手間もそれほどかからない点で注目を集めているトランクルーム経営。
一口にトランクルーム経営といっても、「設備投資から運営まですべて自分自身で行う」「運営部分は事業会社に任せる」など、その経営方法はさまざまです。
今回は、トランクルーム経営の代表的な4つのビジネスモデルについて紹介します。それぞれの運営方法におけるメリット・デメリットを正しく理解しておきましょう。
トランクルーム経営とは
トランクルーム経営とは、空いている土地や建物に荷物を置けるスペースを設置し、それを一般の利用者へ収納スペースとして貸し出すことで賃料収入を得るビジネスです。
賃貸アパートやマンション経営と比べて初期費用・ランニングコストが圧倒的に安く済むことから、「ローリスク、ローリターンの不動産投資」と一般的に言われています。
なお、トランクルームは「レンタル収納スペース」と混同されることもありますが、両者は根本的に異なるものです。
- トランクルーム…物品を預けるサービス(倉庫業)
- レンタル収納スペース…場所を借りるサービス(不動産賃貸業)
上記のとおり、トランクルームは「物品を預けるサービス」です。利用者は倉庫業者と「寄託契約」を結び、預けた荷物については業者が責任を持って保管します。
一方、レンタル収納スペースはあくまで「場所を借りるサービス」です。預けた荷物は利用者の自己責任で管理しなければなりません。
トランクルーム・レンタル収納スペースには明確な違いがありますので、まずはこの点をしっかり押さえておきましょう。
トランクルーム経営の4つのビジネスモデル
トランクルーム経営の代表的な4つのビジネスモデルについてみていきましょう。
一括借り上げ方式(リースバック方式)
一括借り上げ方式(リースバック方式)は、自分のトランクルームを運営会社に借り上げてもらう方式です。
自分の土地に自己資金でトランクルームを設置したあとにそれを借り上げてもらうことで、稼働の有無にかかわらず賃料収入を得られます。
契約内容は「トランク1つあたり〇〇円」「土地1坪あたり〇〇円」など、業者によってさまざまなケースが考えられるでしょう。
毎月決まった賃料が入ってくる安定した方式ですが、賃料の相場は「見込み売り上げの6割〜7割程度」が相場と言われています。
「資金的には余裕があるが運営する時間がない」「手数料は割高でもリスクを極力避けたい」といった人に向いている選択肢です。
業務委託方式(フランチャイズ方式)
業務委託方式(フランチャイズ方式)は、利用者募集や集金、清掃などの最低限の業務のみを運営会社に委託する方式です。
賃貸マンションや駐車場などの不動産経営においてポピュラーな運営方式です。
たとえば賃貸マンション経営であれば、入居者の募集や入居後の管理は不動産管理会社に一任しているケースが多くみられますが、これと同様のシステムといえます。
業務委託方式では賃料はすべて自分に入ってきますが、業務を委託している運営会社に一定の管理手数料を支払わなければなりません。
先ほど説明した一括借り上げ方式では経営のすべてを丸投げする形になるため、「一部の業務のみを外部に任せたい」といった人におすすめの経営方式です。
定期借地方式
定期借地方式は、自分の土地を一定期間のみトランクルーム運営企業に貸し出し、そこから賃料を得る方式です。
コンテナの設置費用などはすべて運営企業が負担してくれる代わりに、地主の懐に入ってくるのは「地代のみ」となります。
トランクルーム経営というよりは、「運営会社に土地を貸すだけの契約」とイメージするとよいでしょう。
不動産事業として高い収益性は期待できませんが、手間がかからないため「時間と労力をかけずに土地を有効活用したい」といった人に向いている方式です。
そのほか、たとえば「何年後かに家を建てる予定がある」など、将来的にその土地の活用方法が決まっている場合にも有効な選択肢でしょう。
自己経営方式
自己経営方式は、土地・物件探しからトランクルームの設置、利用者の募集、集金管理、利用者からのクレーム対応など、トランクルーム運営にかかわるすべての業務を自分自身で行う方式です。
代行業者に手数料を支払わなくて済むためもっとも大きな収益を期待できる方法ですが、賃料設定や集客などの専門的知識・ノウハウも必要であり、初心者向けとは言えません。
思ったように稼働率が上がらなければ、利益どころか赤字になってしまうリスクもあります。
運営に多大な時間や労力がかかるとしても、「自分で一からトランクルーム経営をしたい」「とにかく収益性を高めたい」といった人におすすめの経営方式です。
まとめ
今回はトランクルーム経営の4つのビジネスモデルについて解説しました。
それぞれの運営方式によって、必要になる予算や設備、リスクの大きさなどもまったく異なります。
「自分自身が運営にどれくらい時間をかけられるのか」といった点も含め、持っているリソースにあった最適な方法を選択していきましょう。